10月25日(金)
2度目の高知遠征は4月中旬以来で半年ぶり。正直こんなに早く再訪できるとは思わなかった。金曜の夜に高知入りして梅ちゃんと合流。夜は鳥心というチキン南蛮屋で食ったがこりゃ美味い。満腹になったところで梅ちゃん宅にお邪魔して釣りの支度。奥さんへの挨拶もそこそこに大月に向けて出発した。翌土曜の潮回りは大潮で、朝マズメは絶好のチャンス。
朝夕のマズメに潮が満ちる良い潮回り
途中の中村釣具で撒き餌に刺し餌、それにシンプルで動作が確実そうな反転カゴを見つけていくつか購入。それ以外の道中は旅の疲れが出て高鼾。ドライバーさんごめんね。2時半ごろに梅ちゃんが見つけたタチウオポイントだという大島に到着。梅ちゃんはキビナゴを挟むタイプのワインド仕掛けを投入するも、水深が3mほどしか無いと言う。私はゆっくりカゴ仕掛けを作っていたが、それが終わるか終わらないかのうちに納竿。大月町に向かう。
前回の大月で真鯛を釣っているカゴ師が居た一切(いっさい)漁港が私の本命。その一切に4時ごろに到着すると貸切状態。堤防の根元か先端か迷ったが、先端に釣り座を設定。数回投げたが全く反応が無く、またも圧倒的な眠気に襲われたので明るくなるまで寝る事に。強風にあおられると堤防って揺れるんだなぁと思いながら寝たのだが、起きてみるとウキを3本入れた袋が飛ばされてしまった事に気付いた。これでこの釣行では8号ウキ1本の背水の陣。高知は遠投用のウキの品揃えが悪く、6号が無くなったのは大きな誤算だった。
山向こうは明るくても右手の常夜灯の辺りはまだ夜
5時半ごろ夜明けと共に起き、スタミナも戻ったところでじっくりとポイントを攻め直す。カゴとウキは共に8号。仕掛けは全長3mでハリス3号、針はチヌ3号1本針。基本的に同じポイントに投げ続け、15mくらいから棚を段々深くしていった。私が投げていたポイントは40m沖で20mちょっとの水深がある。底付近の20mまで下げたところで初アタリ。15cmくらいのチャリコが釣れて来た。
6時ごろに釣れたチャリコは即リリース
小さくてもその後の釣果に確信を抱かせる一匹だった
こうなればしめたもの。大きいのが釣れるのも時間の問題だろう。そう思っていたら梅ちゃんがキャスティングタイラバで30cmほどの真鯛を釣り上げた。こりゃ時合だと急いで同じポイントに打ち直すと、仕掛けが馴染むやじわーっとウキが沈んでいく。完全にウキが消えてから3秒ほどで合わせるとゴンゴンと首を振る重い手応え。割りと簡単に浮いてきたのは同じく30cmほどの真鯛。これで今後の釣りの目標のひとつだった真鯛をクリア出来、感慨も一入。
まともなサイズを釣ったのは梅ちゃんが先
次投でも30cmの真鯛を全く同じパターンで釣り上げ、3投目も連続でヒットと休む間が無い。この3匹目は引きが段違いに強く、3号のハリスでは少々心配になる。それでも磯竿の粘りに助けられ無事に浮いてきた。丸々と太った真鯛でぱっと見40cm以上はある。魚にしてみれば20m浮かされるのは水圧変化がきついようで、姿が見えるほどになるとだいぶ大人しくなる。こいつも前の2匹同様に抜き上げようとしたら、竿がバキリと乾いた音を立てて胴から折れてしまった!それでも何とかイカ用のギャフをかけて取り込み成功。今季3度目の竿の故障。反省はしたけれど限界が分かったし同様のミスはしないだろう。
サイズは45cmだったがでっぷりと太って重い
おでこにコブがありオスだと分かる
釣り竿が折れなければ2桁も狙えた?
私はカゴの仕掛けしか持っていないので梅ちゃんの予備のルアー竿は使えない。片付けをしながら見ていたが、梅ちゃんのタイラバにも当たりが来なくなったので8時前に一旦納竿。遠投磯竿が売っていそうな釣具屋を探しに出た。小一時間で無事に手頃な竿を手に入れ他の漁港に行ってみるも不発。最終的に柏島で一寝入りした後に竿を出したがここも釣果には恵まれず帰途に着いた。
柏島も20mほど水深がある
大月の各漁港の特徴は、水深があって波が穏やかな事。イカには絶好の条件だが、それほど潮が効かないので青物が入って来るのは稀だろう。普段青物を追いかけている私にはかなり勝手が違ったが、底物を狙うには良い条件だ。黒鯛は勿論、コロダイあたりもカゴで釣れるのではないかと想像している。ネックは高知市内から3時間近くかかる遠さ。高速の整備が進むと30分ほど短縮されるらしいが、それでも往復5時間では。日帰りだと睡眠時間や帰宅してから調理する気力への影響が大き過ぎるように思う。
そうは言ってもリターンはでかく、真鯛4匹でうち1匹はなかなかの大物。カゴでの底物釣りの第一歩として良い経験も積めた。青物が回って来ない時間帯に経験を活かせれば、面白い釣果が得られるかも知れない。その晩は梅一家と宴会。真鯛は刺し身に握り寿司、中華風の蒸し料理などで戴いたがどれも美味。それに加えて梅ちゃんが釣って冷凍しておいたアオリイカに土佐名物釜揚げしらすなど、豪華な晩餐となった。
10月26日(日)
この日は朝の5時には家を出て、宇佐の一文字に渡ろうという計画だった。しかしあっさりと寝過ごし、起きたのは6時。急いで家を出て渡し船を出している奥田釣具店に着いたのが6時半ごろ。こいつは近くて良いね。往復800円の料金を払い船に乗り込むと5分程度で沖堤の若干先端寄りに着けてくれた。
沖堤ではフカセが7割エギング2割、その他のチョイ投げやルアーなどが1割と言ったところ。私は希少種で唯一人の遠投カゴ釣り。代用品として購入した竿の腰が弱くて40mほどしか投げられないが、フカセで最も遠投している人でも15mほど。それと比較すると釣法は全然違う。
沖堤の先端は青物が回りカンパチなどが釣れると聞いたが、私の見立てでは幾分中程でも充分にチャンスがあるように映った。7時半の満潮潮止まりを過ぎた頃、40mほど沖に潮目が出来やすい場所が空いているのを見つけて移動。水深は8.5mほどだったが、7mより浅い棚に絞って仕掛けを流し続けた。
梅ちゃんはエギングやタイラバなど色々やっていたが、ヘチでタイラバを動かしていたら20cmちょっとのカサゴが釣れて来た。坊主を逃れたと得意気にしていたので、土佐の男がそんな可愛いらしい事で良いのかぁ?そう言って仕掛けを打ち返す。実はこちらは全く当たりのない苦しい時間が続いており気が気ではない。
飛行機の時間も考えると11時が竿を出せる限界。10時を過ぎると不吉な3文字が頭をかすめ始める。流れを変えようと8mに棚を下げ、恐怖を紛らわすように梅ちゃんとのバカ話に興じてよそ見をしていると、竿にググンと大きな当たり。しまったと思いつつ合わせを入れるとイナダに似た大型青物の強烈な引き。20秒ほどやり取りしたが、横走りに加えて底にも潜る。瞬発力もあり、こいつはドラグを緩めないと拙いかと考えた矢先に手応えがふっと軽くなってしまった。仕掛けを回収すると、3号のハリスがぶ千切られている。
逃した魚は大きいと言うが、それを差し引いてもサイズは50UPだろう。俄然やる気になってハリスを6号に変更し仕掛けを打ち返すも、3回も投げると梅ちゃんからタイムアップの宣告。最後のひと流しという事でカゴを流す傍ら片付けを始める。
3分ちょっと放置していたろうか。海に目を戻すとどこにもウキが無い。リールを巻くがこちらも手応えが無い。最初は何が起こったのか分かりかねたが、どうやら魚が針にかかり、放置されている間に堤防側に寄って来たようだ。糸ふけを巻き切るとようやく力強い動きが伝わって来る。少しドラグを緩めて、じっくりしたやり取りに移行。先程と同様、横の動きと下への動きの2種類がある。仕掛けをぶっ千切っていった奴と同じ魚種と考えて間違いないだろう。鯖やカツオではない。カンパチ、イナダ、ヒラマサあたりか。ウキが水中に見えて来て、あと3mも巻けば顔が拝めると思ったのだがここでまたも痛恨のラインブレイク。
仕掛けを上げると3mのハリスが2m残して切れていた。片付けをして目を離していた間に根ズレでもしたのだろうか。あるいは堤防に開いている穴の部分に飛び込まれてスレたか。もう少し沖目から主導権を握れていればと思っても後の祭り。これで納竿としたが、これはリベンジせずにはおけん。高知に来る前よりも釣りへの欲求が強くなって飛行機に乗る事になったけれど、こうした失敗が燃料になり上達を早めてくれる。真鯛を釣った事、竿を折った事、大物を逃した事。前回とはうって変わって、かなりの経験値を積めた高知釣行となった。